娘が小学5年の3月に、WISCⅢ検査を受けました。
検査から1週間後、検査結果についての説明をスクールの臨床心理士に聞く日がやってきました。
数字的な結果は以下の通り
<IQの水準>
全検査IQというのが、68
言語性IQ、75
動作性IQ、66
<群指数の水準>
言語理解、76
知覚統合、67
注意記憶、79
処理速度、75
<群指数の概略>
言語理解 言語的な情報や自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用する力(聴覚、類推)
知覚統合 視覚的な情報を取り込み、各部分を相互に関連付けて全体として意味のあるものへまとめあげる力(視覚、類推)
注意記憶 注意を持続させて聴覚的な情報を正確に取り込み、記憶する力(聴覚、記憶・自動処理)
処理速度 視覚的な情報を、事務的に速く正確に処理していく力(視覚、記憶・自動処理)
知能水準の分類と理論上の人口比、というものによると
IQ 割合 状態
69以下 2.2 特に低い
70~79 6.7 境界線(ボーダーライン)
80~89 16.1 平均の下
90~109 50 平均
110~119 16.1 平均の上
120~129 6.7 高い
130以上 2.2 特に高い
この数字をみますと、69以下は特に低い、じゃ70だと69とどう違うの?と
突っ込み入れたくなりますが。
だいたい、どのあたりまでをいうのかわからないこの発達障害ですが、
数字で表すと激しくはっきりします。そして頭がくらくらします。
さて、細部にいたる検査結果の内容
下位検査の概略
項目 測定される主な固有の能力 評価点 相当年齢
言語性検査
知 識 一般的な事実についての知識量 6 9-6
類 似 論理的なカテゴリー的思考力 7 9-10
算 数 計算力 6 9-6
単 語 単語に関する知識 4 7-10
理 解 実質的知識を表現する力 7 9-2
過去の経験や既知の事実を正確に評価する力
数 唱 聴覚的短期記憶 7 9-2
絵画完成 視覚刺激に素早く反応する力 7 9-6
視覚的長期記憶
指示に従う力
動作性検査
符 号 事務処理の速度と正確さ 6 10-2
動作の機敏さ
視覚的短期記憶
結果を予測する力
絵画配列 時間的な順序の認識 5 8-2
時間概念
積木模様 全体を部分に分解する力 4 7-10
空間構想
組合せ 部分間の関係を予測する力 4 6-2
思考の柔軟性
記号探し 視覚的探索の速さ 5 9-6
迷 路 視覚的パターンをたどる力 6 9-2
見通し能力
【総合所見】
全検査IQは68で、知的水準としては特に低い水準。言語性IQは75、動作性IQは66で、有意差(確率的に偶然とは考えにくい意)はなし。
67群指数の中では、『注意記憶』が最も高く(79)、『知覚統合』が最も低い(67)という結果です。
言語性の課題では、全体的に反応が遅く、答えるのに時間を要した。また、伝える言葉が思いつかない様子が見られ、語藁(ごい)はあまり豊富ではない。答えようとする意欲は感じられ、それぞれの課題についてしっかりと検査者の教示や問題を聞き、ゆっくりと考えてから答えた。
一方、わからないときには何も表現せず、検査者からの声かけを待ってから次の問題に進むということが多々あり。“類似”の課題では、解答できないものが多くあったが、<山・川>→「自然」と回答することができた。
“理解”の課題では、いくつかの回答を挙げる問題に対し、一つの回答で終わってしまうことがあったが、一つのみでも多くの問題に回答することができており、経験から得た比較的定着しやすいということがうかがえる。
しかし、“単語”課題の評価点の低さから、知識が概念として形成されても、言語表現として表出することが苦手であると推察される。
動作性の課題では、“絵画完成”の評価点が最も高く、全体の中の細部にしっかりと注目することができており、視覚的な刺激に対しての反応が比較的良いと評価できる。
一方、評価点の低かったものは“積木模様”と“組合せ”で、時間がかかったり制限時間になってしまったりすることが多く、空間や平面に置かれたものを全体から部分に分解すること、逆に、部分から全体の構成・再構成すること、どちらも苦手なことがうかがえる。
“絵画配列”や“記号探し”の結果も合わせて推察すると、視覚的な刺激に対して見通しを立て、その処理を動作で行うことの苦手さを持っていることがうかがえる。
これらの結果から、本児の精神発達は特に低い水準であると思われる。視覚的な情報を取り込んで各部分の相互に関連付け、全体として意味のあるものへまとめあげる能力が低く、そこに作業的な処理が加わると特に困難となるようだ。
本児の社会性はおおむね良好で、人とコミュニケーションをとりたいという意志は感じられます。ただ、要求を言葉で表出することに対して苦手さを持っているようだ。
以上の結果により、子どもの状態像として、
○言語の処理、特に表出が苦手。
○視覚的な刺激の分解や構成が苦手。
○作業や思考速度が遅く、処理に時間がかかる
といったことが考えられる。
学習の面では、
○絵や文字を書くことだけでなく、自ら口にすることで聴覚も刺激し、概念を説明させる
○パズルや作文メモなど、全体と部分どちらにも注目しながら作業し、分解と構成の力をつける
○視機能ドリルなどでトレーニングを行い、目と手の協応を高める。
といったことにポイントをおき、学習を進めていくことが効果的だと考えられる。
結果を公開してみました。
ご参考になればと思います。