発達障害母の見た自閉症東田直樹さん「22歳までを振り返って」講演その2

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人の心

 

  • 人の心というものは、本当に不思議。

 

  • 僕は目の前に見えているものが大事なものかどうか、それを判断するのは、脳ではなく、心だと思っている。

 

  • 心は水面と似ている

 

  • 普段は、まるでガラスのように、ただ光を反射しているだけだが、小さな小石を投げたとたんに、次々に波紋が広がる。

 

  • そして、水面全部が、美しい波のような動きを見せ、静かに元に戻る。

 

 

  • 僕はずっと昔から、こんな日が来るのを夢見ていたような気がする。

 

  • それは、自分の言葉が世界に届くということではなく、自分の選択した人生に対して、これでよかったと思えること。

 

  • 結果として本が売れたからではない。

 

  • 自分の存在が、誰かの人生に影響を与えられることが、わかったから。

 

  • お金があることや、人生に成功することも、人が幸せに生きるためには、必要なこと。

 

  • けれども、それだけが、人生の価値を決めるものではないことは、みなさんもご存じの通り。

 

自閉症者として生まれた僕

 

  • 僕は、自閉症者として生まれた。

 

  • なぜ僕が「自閉症」なのか、その疑問を今でもずっと持っている。

 

  • 幼稚園の記憶は、大空をさ迷っている小鳥のようなイメージだった。

 

  • 僕はいつも遠くの空を見ていた。

 

  • なぜなら、人が住んでいる所は、あまりに狭く息苦しかったから。

 

  • 望んでいたのは、全ての苦しみからの解放だった。だから泣き叫び、走り回り、こだわり続けたのだと思う。

 

  • そうしなければ、僕の羽はぼろぼろになり、二度と青空を羽ばたくことなどできないと感じていた。

 

  • 自分が人だという認識のない僕にとって、みんなと同じ行動をするのは、あまりに無意味だった。自然とたわむれている方が何倍も楽しいことだったから。

 

 

自然と一体化

 

  • サラサラという美しい音とともに、小さな手からこぼれ落ちる砂は、繰り返し聞くおとぎ話のように僕を夢中にさせた。

 

  • 天から降り注ぐ光は、目の前で揺らめき、粒子になって僕を誘った。自分も光になったような感覚で、ただ見とれていた。

 

  • 風も友だちだった。ヒュンヒュン、ビュービュー風が吹くたびに、仲よく遊んだ。走っている間は、僕も風だから。手を大きく回したり、自分がぐるぐる回転したり、今に空に飛んでいきそうな勢いで一緒に走った。とにかく、自由でいたかったのだ。僕の人生の中で、一番自分らしくいられたのは、この時代だったのではないか。

 

発達障害母の見た自閉症東田直樹さん「22歳までを振り返って」講演その3へ続く

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